「恋愛小説が読みたい!」と思っても、数が多くてどれを選んで良いのか分からなくなってしまっている方は多いのではないでしょうか?
そこで20代の女性向けの恋愛小説を3つ紹介したいと思います。
クジラの彼
「恋愛小説は読みたいけど、忙しくて時間がない!」
そんな方におすすめなのが『クジラの彼』です。
短編小説なので一つ一つの物語は短く、一気に読むことができます。
どれも面白い小説なのですが中でも『クジラの彼』は女性視点の小説で、特に女性向けの恋愛小説としてとてもおすすめです。
聡子は「人数合わせ」として合コンに呼ばれ、そこで冬原に出会います。
冬原はいわゆるイケメンだったのですが、聡子は思いがけず冬原と意気投合し、出会ったその日からファミレスで夜があけるまで語り明かしました。
そのことがきっかけで、二人は付き合うことになります。
こんな「いかにもありそう」な場面から小説ははじまるのですが、なんと冬原の職業は自衛隊で潜水艦の乗組員をしているのです。
潜水艦の乗組員ということは当然、仕事中はずっと水の中にいることになります。
そのため電波は届かず連絡は一切できません。
その上、どれくらいの期間海に潜っているのかも「国家機密」にあたるため前もって知らせることはできないのです。
遠距離恋愛ならメールや電話はできますが、それすらできないまま聡子はひたすら待ち続けることしかできません。
さらに冬原は恋愛に対して臆病になっているところがあり、「別れたければいつでも別れてくれていい」と言ってきます。
いつも自分の仕事のせいで、好きな相手に寂しい思いをさせ続けてしまったという罪悪感があるんですね。
次連絡できるのはいつか、会えるのはいつか……そんなことを思いながら待ち続ける聡子の切なさが伝わってくる作品です。
人気作家・有川浩が書いた作品ということで、胸がキュンとするシーンもあって、読み終わった後は元気になれるような作品です。
ぜひ読んでみてください!
ナラタージュ
誰でも一度は年上の男性を好きになったり、気になったりしたことがあるのではないでしょうか?
ナラタージュは、大学生の主人公が高校時代の教師に恋をしてしまう物語です。
とてもリアルで泣ける小説なのでおすすめの女性向け恋愛小説として挙げさせてもらいました。
主人公・工藤泉はすでに結婚が決まった女性です。そんな泉には忘れられない恋がありました。
事の始まりは大学2年生の時。
高校時代の教師だった葉山先生から突然電話がかかってきます。
葉山先生は「演劇部の公演にどうしても人が足りないから手伝ってほしい」と言ってきました。
高校時代、いじめられがちでクラスで孤立していた泉は、助けてくれた葉山先生に恋心を抱いていました。
泉はまた葉山先生に会うために依頼を受け、演劇部の手伝いをすることにします。
演劇部の稽古を重ねるうちに、泉は葉山先生との距離を縮めていきます。
しかし、一緒に演劇部の手伝いでやってきていた小野くんとも仲良くなり、好意を持たれます。
そしてある時、泉は小野くんから告白されるのですが、やはり葉山先生のことが好きだったので断ってしまいます。
一方、泉と葉山先生の関係もなかなかうまくいきません。というのも、葉山先生にはどうしても関係を切れずにいる妻がいたのです。
そのために葉山先生も泉のことを好きなのですが、泉と付き合うことはできませんでした。
そしていつしか泉は「好きなのは葉山先生だけど、小野くんと付き合ったら幸せになれるのかもしれない」と思うようになります……。
果たしてこの三角関係、どのように決着するのでしょうか?
この小説の切ないところは、冒頭ですでに結婚の決まった泉が、昔のことを思い出している、という形を取っていることです。
物語の中で進んでいく恋愛はすべて「もう終わったこと」なのです。
直木賞作家・島本理生が20代の時に書き上げた、瑞々しくも哀しい恋愛小説。ぜひ読んでみてください。
ちなみに2017年には有村架純さん(泉)、松本潤さん(葉山先生)、坂口健太郎さん(小野くん)などをキャストに映画化もされています。
『きみにしか聞こえない―CALLING YOU』
「流行りの恋愛小説もいいけど、ちょっと違うものが読みたい」という方には、『きみにしか聞こえない――calling you』がおすすめです。
こちらは短編集ですが、中でもおすすめは『calling you』です。
2001年に発表された、まだ携帯電話の時代だったからこそできた不思議な恋愛の物語なんです。
主人公のリョウは女子高校生です。
周りのみんなは携帯電話を持っていますが、リョウだけは持っていません。
リョウは人と話すことが苦手で、うまく周囲と馴染むことができずいつも一人でした。
そんなリョウも、本当はみんなと同じように携帯電話で友達と話したりしたかったのです。
「現実では無理だからせめて想像で」と、リョウは頭の中に携帯電話をイメージします。
それがいつしかリョウの楽しみとなり、頭の中の携帯電話は手で触れてもおかしくないほどリアルになっていきました。
そんなある日、なんとこの「頭の中の携帯電話」に着信があります。
それに出てみると、相手は一歳年上のシンヤという少年でした。
最初はシンヤの存在を自分の妄想かと疑いますが、話していくとどうやらシンヤは実在するということが分かります。
シンヤもリョウと一緒で友達がいなくて、携帯電話も持っていなかったのです。
そしてリョウと同じように、頭の中で携帯電話を想像しているうちにリョウに通話がつながったのでした。
似た者同士の二人は携帯電話で何度も通話し、仲を深めていきます。もう一人ではありませんでした。
そして二人はあることを決断します。通話だけでなく実際に会ってみることにしたのです。
シンヤは北海道に住んでいたので、飛行機に乗ってくる必要がありました。
約束の日、リョウは待ち合わせの羽田空港へ向かいました。
ところが、そこで「ある出来事」が起こってしまいます……。
独特な世界観を持つミステリー小説を書くことで有名な著者・乙一が20代の時に書いた、不思議で切ない恋愛小説です。
まとめ
私がオススメする恋愛小説を3つ紹介させていただきました。
どれも切なく感動できる作品ばかりです。
ぜひ、恋愛小説を今すぐ読みたい方は、買って読んでみてください。